フードトラックで他店の料理と差別化するための具体策5選
2025.12.16
- 飲食店の開業

フードトラックは、固定店舗よりも初期費用を抑えて開業できることから、個人でも挑戦しやすいビジネスとして人気が高まっています。
一方で、市場の拡大に伴い競合も増え、「どんな料理なら売れるのか」「他店とどう差別化すればいいのか」と不安を抱える方も少なくありません。
フードトラックで成功するために重要なのは、「選ばれる理由」をつくることです。この記事では、フードトラック市場の現状や成功する料理の共通点、そして他店と差別化するための具体策を、業界に精通した当社(フードトータルデザイン)の視点でわかりやすくまとめました。
これからフードトラックの開業を検討している方や、調理機器の導入に迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
フードトラック市場の現状
フードトラック市場は右肩上がりで拡大しており、競合も増えているため「差別化の重要性がこれまで以上に高まっている」のが現状です。
フードトラックは、調理設備を搭載した車両で営業する飲食形態で「キッチンカー」「ケータリングカー」などの名称でも呼ばれます。
イベント会場・オフィス街・商業施設・自宅の敷地内など、出店場所を柔軟に変えられる点が特徴で、コロナ禍以降その需要は急速に伸びました。
実際に、東京都が公開している営業許可施設数(飲食店・自動車)は
令和元年:3,381件→令和6年:6,715件
とほぼ倍増しており、市場参入者が急激に増えていることがわかります。
市場が広がる一方で、メニューの傾向が似通いやすいことや、出店条件・場所取りの競争が激しくなっている点は大きな課題です。
今後は、単に“キッチンカーを持つだけ”では売上を伸ばしにくく、明確なコンセプトやターゲット設定、オペレーション設計など戦略的な差別化が不可欠となっていきます。
他店の料理と差別化することの重要性
フードトラックで安定して売上を伸ばすためには「他店と差別化されたメニューやコンセプトを持つこと」が必須です。
冒頭でもお伝えしたように、市場が拡大している今、定番メニューを提供するだけでは競合に埋もれてしまいます。
近年はフードトラックの数が増え、1つのイベント会場やオフィス街に複数のキッチンカーが並ぶケースも珍しくありません。似たようなメニューが集まると、どうしても価格競争に陥りやすく「安くしないと売れない」という悪循環が生まれます。
一方で、明確なコンセプトや独自性のあるメニューを提供する店舗は、
・SNSで話題になりやすい
・口コミで広まりやすい
・「ここでしか食べられない」とリピーターがつく
といった強みを発揮しやすくなります。
市場が広がるほど競争も激しくなるため、他店との差別化はフードトラック事業を成功させるうえで欠かせない戦略です。

フードトラックで成功する料理の共通点
売れているフードトラックの料理には、「注文しやすい定番性・早い提供・適正な単価・場所のニーズ適合・オリジナリティ」という5つの共通点があります。
ここからは、それぞれのポイントを具体的に見ていきましょう。
定番メニュー
フードトラックでは、誰もが知っている「定番メニュー」は初めての利用者にも選ばれやすいという強みがあります。
カレー、ハンバーガー、からあげなど、老若男女に好まれる料理は、出店場所が変わっても安定して注文が入りやすいのが特徴です。
ただし、同じようなメニューを扱う店舗が増えているため、定番メニューを採用する場合は味・盛り付け・トッピングなどで一工夫を加え、他店との差別化が求められます。
提供スピードが速い
フードトラックでは、提供が速い料理ほど売上につながりやすいという特徴があります。ランチタイムやイベント会場など「できるだけ並びたくない」「すぐ受け取りたい」というシーンで利用されることが多く、待ち時間が長いだけで離脱されることも珍しくありません。
さらに、キッチンカーはスペースやスタッフ人数に制限があるため、短時間で安定して調理できるオペレーションが必要です。行列が長くなると周囲の導線にも影響し、出店場所によっては運営側から注意を受ける場合もあります。
そのため、成功している店舗ほど“仕込み・動線・メニュー構成”を最適化し、「すぐ出せる」体制づくりを徹底しています。
高単価
フードトラックは固定店舗に比べて、営業できる時間や提供できる数量に限りがあります。そのため、安売りだけで利益を確保するのは難しい業態です。成功している店舗ほど、メニューに付加価値を持たせ、適正な単価を確保できる設計を行っています。
付加価値のつくり方には、
・専門性のあるメニューにする
・ボリュームや品質を安定させる
・トッピングやセット売りで満足度を上げる
・ブランドとして世界観を統一する
など、さまざまな方法があります。
ここでいう「高単価」とは単に価格を上げることではなく、限られた営業機会でも利益を出せる「価値ある一品」に仕上げることを意味します。
顧客のニーズにマッチする
フードトラックのメニューは、出店する場所や時間帯の「ニーズに合っているか」で大きく売上が変わります。
オフィス街のランチタイムでは「早く食べられる・片手で持てる・ボリュームがある」メニューが選ばれやすい一方、ファミリー向けイベントでは「見た目が楽しい・子どもでも食べやすい」といった要素が重視されます。
出店の背景が“提供したいメニューが先”か“場所が先”かに関わらず、最終的にはその場の利用者が何を求めているかを把握することがポイントです。
ニーズに合わないメニューはどれだけおいしくても選ばれにくいため、場所・時間帯・客層の事前リサーチが特に重要になります。
オリジナリティがある
競合が増えている今、フードトラックが選ばれるためには「この店で買いたい」と思わせるオリジナリティが欠かせません。この場合のオリジナリティとは奇抜なアイデアではなく、他店にはない“小さな強み”をつくることを指します。
例えば、
・特別な食材や地域食材の使用(ご当地ブランド肉、地元野菜など)
・定番メニューへの独自アレンジ(スパイス配合、ソースの自家製化、具材の組み方)
・見た目の工夫(映える盛り付け、オリジナルパッケージ)
・世界観を持ったブランディング(店名・カラー・ストーリーの統一)
など、ちょっとした違いでも「他店との差」として伝わります。
フードトラックは似たメニューが並びやすいため、このような工夫が「ここでしか買えない価値」になり、リピーター獲得やSNSでの拡散にもつながります。

他店の料理と差別化するための具体策5選
フードトラックで他店と差別化するために大切なのは、メニューだけではなく、総合的な戦略で選ばれる理由をつくることです。
そのためにはマーケティングやターゲット設定など、複数の施策を組み合わせて進める必要があります。
差別化に直結する具体策を5つに分けて解説します。
マーケティングを実施する
フードトラックの差別化は現状を把握し、求められているものを正しく理解することから始まります。
そのために欠かせないのが、日々のマーケティングです。
効率的に行う方法としては、
・同エリアのキッチンカーのリサーチ(メニュー・価格・提供スピード・評判)
・出店場所の特性チェック(客層、時間帯の動き、イベントの目的)
・飲食業界やSNSでのトレンド把握
などが挙げられます。
これらの情報を集めることで、「どんなメニューが選ばれやすいか」「価格帯はどこに合わせるべきか」「自店が差別化できるポイントはどこか」といった判断がしやすくなります。
マーケティングというと難しい専門作業の印象がありますが、意識したいのは「売れる理由を見つけるための現場観察」という視点です。
実際にやってみると市場把握はやりやすいため、日々の改善に活かしてみましょう。
ターゲットを明確にする
フードトラックのメニューづくりは「誰に売るのか」をまずは明確にし、差別化のポイントを考えてみましょう。
同じ場所に出店していても、利用者の年代・目的・滞在時間によって選ばれる料理はまったく変わるためです。
・オフィス街のランチなら
提供の速さ、片手で食べやすい形、飽きない日替わり性
・ファミリー向けイベントなら
子どもでも食べられる味、シェアしやすい形、写真映えする見た目
このように、客層によって「求められるポイント」は大きく異なります。
実際に、観光地のフードトラックでは“その土地らしい素材が入っているか”が選ばれる決め手になる場面も多く、旅行客は「特別感」や「地元らしさ」を重視するでしょう。
このように、ターゲットを具体的に想像することで、「どんなメニューが響くか」「なぜ自店が選ばれるのか」が明確になり、差別化しやすくなります。
独自性のあるメニューを開発する
競合が多いフードトラックでは「ここで買いたい」と思わせる独自性のあるメニューづくりが重要です。
繰り返しになりますが、奇抜さではなく、定番メニューに自店ならではの一工夫を加えることで、選ばれる理由が生まれます。
独自性を付けるポイントの例としては、
・定番料理への独自アレンジ(自家製ソース、具材の組み合わせなど)
・地域食材や季節の素材を活かす
・世界観やストーリーを持たせる(店名・コンセプトと統一)
・見た目の工夫やネーミングのアイデア
など、定番料理でも「小さな違い」で印象に残るメニューになります。
独自性は特別な発想ではなくても構いません。まずは、「定番+あなたの店の個性」を掛け合わせるところから始めてみましょう。
SNSを活用する
フードトラックは「お客様から調理の様子が見えにくい」という特徴があります。そのため、SNSで“料理の裏側”や“こだわり”を伝えると大きな差別化ポイントになりやすいです。
かわいい車体の写真だけでなく、素材選び・仕込み・盛り付けなどを短い動画で発信することで、料理への信頼性や店の世界観が伝わりやすくなります。
特に、TikTokやInstagramリールのようなショート動画は、
・丁寧な調理風景
・香りや熱気が伝わるシーン
・完成する瞬間の“ASMR的気持ちよさ”
・地域食材を使う理由などのストーリー
などと相性が良く、選ばれる動機につながりやすい形式です。
また、SNSでは「どのプラットフォームを使うか」よりも、ターゲットがどんな動画を見て来店意欲を高めるかが重要です。
投稿は出店情報だけに偏らせず、料理の魅力が伝わる裏側コンテンツや、店主のこだわりが見える発信が、結果的にファンづくりに直結します。

プロに相談する
フードトラックは、車両デザイン・メニュー開発・オペレーション設計・調理設備の選定など、専門的な判断が必要な領域が多く、自己流では「使いづらい」「回らない」「思ったほど売れない」といった失敗につながりやすいのが実情です。
一方、フードトラック支援のプロは、数多くの成功例・失敗例を見てきた経験から、その店にとって最も効率的で、最も売れる形を具体的に提案できます。
車両レイアウトから機器選び、メニュー構成、ブランドづくりまで一貫して相談できるため、開業までの迷いが減るのも大きなメリットです。
フードトラックは参入ハードルが低いため、「個人の裁量で十分」と考えてしまいがちです。しかし、プロに相談することは単に専門知識を借りるだけでなく、自分では気づけない課題を早期に発見し、成功確率を高めるための“投資”にもなります。
フードトラックのことならフードトータルデザインにご相談ください!
フードトラックは参入しやすい一方で競合が多く、「なぜこの店を選ぶのか」という理由づくりが成功の鍵になります。
本記事で紹介したように、料理の工夫だけでなく、マーケティング・ターゲット設定・SNS発信など、複数の視点を組み合わせた総合的な差別化が重要です。
とはいえ、車両レイアウトや調理設備、オペレーション設計までをすべて自己流で整えるのは簡単ではありません。
スマートイノベィションズが手がけるのフードトータルデザインでは、厨房機器の選定からメニュー開発、ブランドづくりまで、フードトラックの開業を一貫してサポートしています。
「何から始めればいいかわからない」「設備選びで失敗したくない」という方は、ぜひ一度ご相談ください。あなたのフードトラック事業を成功に導くプランをご提案します。
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この記事を書いた人
販売管理部 取締役
住宅メーカーでの接客・ゾーニング・CAD提案を経て、厨房業界へ転身。以後10年にわたり、大手チェーン店案件を中心に現場調査→プランニング→積算→施工までを一気通貫で担当してきました。設計・施工・運用の全工程を把握したうえで、導入計画と現場オペレーションの整合を取ることを重視しています。
現在は自社製品の販売を統括。お客様の「うまく言語化されていない本音や制約条件」を丁寧に引き出し、レイアウト最適化、導入コストとスケジュール、運用負荷、契約・リスクの確認ポイントまで踏み込んで提案するのが持ち味です。法学部で培った合意形成・契約視点を背景に、コラムでは導入・設置・運用・コスト試算の実務的観点を中心に、現場で役立つ判断基準を解説します。
「ご用聞きではなく、潜在課題の言語化と解決」が信条。プライベートでは釣りとアガベ栽培に熱中し、環境条件の管理や段取りの大切さを日々の仕事に生かしています。

