COLUMNコラム

多数の飲食店開業に携わったスマート・イノベィションズが飲食店開業のノウハウと成功への近道をお伝えします。

水素エネルギーを使った調理器具とは?導入するメリットや事例を解説

2026.01.19

  • 飲食店の開業
水素ピザ窯の正面画像
この記事の目次

飲食店や宿泊施設では、料理やサービスに加え、環境への配慮や企業姿勢も評価の対象になっています。

一方で、「環境対応を考えたほうがいいのは分かっているが、何から手を付けるべきか」「将来を見据えた設備投資として妥当なのか判断が難しい」と悩む声も少なくありません。

そうした中で注目されているのが、水素エネルギーを活用した調理器具です。脱炭素への貢献に加え、調理品質の向上やブランディングにつながる点から、導入を検討する施設が増えています。

本記事では、水素調理の基礎から導入メリット、事例、補助金制度までを解説します。

注目が高まる水素エネルギー

水素エネルギーは、燃焼時に二酸化炭素(CO2)を排出しないクリーンなエネルギーとして、世界的に注目されています。

気候変動対策としてのCO2削減は国や地域を問わない共通課題であり、日本においても脱炭素社会の実現に向けた取り組みが進められてきました。

こうした背景のもと、国のエネルギー戦略の一環として2017年には「水素基本戦略」が策定され、水素エネルギーを将来の重要なエネルギー源として位置づけています。水素はさまざまな資源から取り出すことができ、燃焼してもCO2を排出しないという特性を持つことから、発電や輸送分野を中心に活用が広がってきました。

実際に、自動車やバスといったモビリティ分野や、家庭用燃料電池(エネファーム)などではすでに実用化が進んでおり、現在はその応用先として、調理分野における活用にも関心が高まっています。

水素エネルギーイメージ画像
Getting green hydrogen from renewable energy sources. Concept

水素エネルギーを使った調理器具

水素エネルギーは、調理器具をはじめとした「食」の分野でも活用が進んでいます。

背景にあるのは、食料の生産や加工、調理といった工程が、環境負荷の大きな要因とされている点です。

EUで行われた調査では、世界で排出される温室効果ガスの約3分の1が「食」に関係しているとの指摘もあります。こうした状況から調理工程におけるエネルギーの見直しは、脱炭素に向けた重要なテーマの一つとされています。

水素は燃焼時にCO2を排出しない特性を持つため、調理に使用するエネルギーを水素に置き換えることで、厨房からの環境負荷を抑えることが可能です。現在ではこの特性に着目し、さまざまなメーカーが水素を燃料とする調理器具の開発に取り組んでいます。

具体的には、水素コンロやグリルをはじめ、石窯やかまど、コーヒー焙煎機など、多様な調理器具への応用が進められており、業態や提供する料理に応じた導入が検討されています。

水素ピザ窯の正面画像
フードトータルデザインの水素ピザ窯

水素調理のメリット

水素調理のメリットとは、環境負荷を抑えながら、調理品質の向上や企業価値の訴求にもつなげられる点です。燃焼時にCO2を排出しない特性から、厨房の脱炭素対策として有効であることに加えて、安定した火力による調理品質の向上もポイントになります。

ここでは、水素調理のメリットを3つにまとめました。一つずつチェックしていきましょう。

環境にやさしい

水素調理の特性には、燃焼時にCO2を排出しない点があります。

水素を燃料として使用した場合、燃焼によって発生するのは水蒸気のみで、調理工程そのものが脱炭素につながるのです。そのため、厨房におけるCO2排出量の削減や、環境負荷の低減に直接的に貢献できることが評価されています。

また、この特性は、脱炭素社会の実現に向けた取り組みの一環として位置づけやすく、環境配慮を「方針」ではなく「設備」として示せる点もメリットです。

現時点では電気やガスと比べて水素インフラは発展途上ではあるものの、将来的にはエネルギー源の多様化につながり、石油の輸出制限や価格高騰といったエネルギーリスクの分散という観点からも注目されています。

料理の品質が向上する

水素調理は、ガスと同等以上の火力を確保できます。さらに、燃焼温度が高く、立ち上がりの早い加熱が可能です。

そのため、短時間で食材にしっかりと火を入れることができ、加熱ムラの少ない調理につながります。

水素は燃焼時に臭いを発生させず、酸素と結合して水蒸気となる特性を持っています。調理中には余計な臭いが付着しにくく、食材本来の風味を活かしやすい点も特長です。

さらに、水蒸気による加熱効果により、食材の水分や旨味を閉じ込めやすく、外はカリッと、中はジューシーに仕上げやすいとされています。

なお、すべての調理において水素が最適というわけではなく、調理方法やメニューによっては従来のガス火が適しているケースもあります。

水素調理は業態や提供する料理に応じて使い分けることで、品質向上の効果を発揮しやすい調理手法といえるでしょう。

ハイパーグリル_完成料理画像

企業のブランディングができる

水素調理は環境配慮の取り組みとして注目されているイメージがありますが、「新しい調理技術を積極的に取り入れている企業姿勢」を示す手段としても活用できます。

現時点では水素調理器具の導入事例はまだ多くなく、先進的な設備として注目されやすい点が特長です。

そのため、水素調理を導入することで、「環境に配慮している企業」という印象にとどまらず、「新しい技術や設備に投資し、品質向上に取り組んでいる企業」としてのイメージを訴求することができます。

この姿勢は、来店客や取引先に対する信頼感の向上に効果があるうえ、他社との差別化にもつながるでしょう。

先進的な取り組みを行う企業として、イメージの向上や認知拡大になることも、水素調理のブランディング面でのメリットです。

水素フリフリチキンの拡大画像 
フードトータルデザインの水素フリフリチキンロースター

水素エネルギーを使った調理器具の導入事例3選

水素調理器具はすでに飲食店や宿泊施設、企業のレストランなどで導入が進んでおり、業態や目的に応じた活用が現実的に行われていることが分かります。

水素エネルギーの導入事例をここでは見ていきましょう。

世界初の水素焼レストラン|icHi(いち)

東京都内にある「icHi(いち)」は、水素を燃料とする調理器具を導入した世界初の水素焼レストランです。店舗では水素コンロを使用したコース料理を提供しており、同一食材をガス調理と水素調理で食べ比べできるメニューも用意されています。

導入の背景には、水素エネルギーへの理解促進や体験価値の向上を目的とした取り組みがあります。水素の利活用コンサルティングや水素コンロの開発を行う企業が中心となり、「食」を通じて水素社会を身近に感じてもらうモデルケースとして企画されました。

また、店舗自体がショールームの役割も担っており、来店者や導入検討者が実際の稼働設備を確認できることも特徴です。

参考:世界初、都内に“水素焼レストラン”が誕生。水素で調理されたコース料理を提供

箱根の名旅館に水素コンロ|円かの杜

箱根・強羅にある旅館「円かの杜」では、世界で初めて水素コンロを導入した環境配慮型の取り組みを行っています。館内の厨房に水素コンロを2台導入し、会席料理の調理に活用しています。

導入の背景には、気候変動への問題意識と、旅館としてできる具体的な取り組みを形にしたいという考えがありました。

水素コンロはCO2を排出せず、水蒸気を発生させる特性を持つため、食材の水分や旨味を保った調理が可能です。一方で、プロパンガスに比べてコストが高いという課題もある中、環境負荷低減と料理品質の両立を重視して導入が決断されました。

水素コンロの導入により、年間約20tのCO2排出量のうち約1.2tの削減が見込まれており、料理を通じて環境問題を考えるきっかけづくりにもつながっています。

参考:世界初!水素コンロ導入の箱根の名旅館《円かの杜》環境配慮型旅館へ

本社レストランに水素グリラー|株式会社ジェイテクト

ジェイテクトは、本社事務本館内の社員食堂「レストランONLY ONE」に、水素を燃料とする調理器「水素グリラー実証機」を導入しています。

この調理器は、リンナイおよびトヨタ自動車と共同開発されたもので、社員向け昼食メニュー(焼き魚など)の調理に実際に使用されています。

導入の背景には、ジェイテクトグループが掲げる環境方針「環境チャレンジ2050」があります。同社は、Scope1・2・3すべてでのCO2排出量削減を進めており、生産部門以外の領域でもカーボンニュートラル達成に貢献する取り組みとして、水素調理器の活用を位置づけています。

社員食堂という日常的な場面で水素を活用している点が、この事例の大きな特徴です。

参考:本社レストランに水素調理器を導入し、カーボンニュートラル達成を推進

レストランの厨房

水素エネルギーを使った調理器具の導入と補助金制度

水素エネルギーを使った調理器具の導入には、補助金制度を活用できる場合があります。導入コストの負担が軽減できるため、導入ハードルを下げるためには、制度のチェックがおすすめです。

たとえば、東京都が実施する「グリーン水素の社会実装化に向けた設備等導入促進事業」では、水素の製造・貯蔵・運搬・利用に関する各種設備を対象に助成金が交付されます。

事業所等に新たに設備を設置する事業者が対象で、設計費・設備費・工事費などの費用が補助対象になります。申請期間や対象要件は年度によって変わるため、東京都の公募要領や手引きを確認しておきましょう。

また、国や自治体レベルでも水素関連機器や再生可能エネルギー設備に対する支援制度が存在する場合があるため、事業者は自社の所在地に応じて補助制度を調べ、活用計画に組み込むと導入負担の軽減につながります。

※ 詳細や最新情報は各制度の公募要領や公式サイトを必ずご確認ください。

水素調理のことならフードトータルデザインにご相談ください!

水素エネルギーを使った調理器具は、脱炭素への貢献に加え、調理品質の向上や企業姿勢の訴求にもつながる技術です。

すでに飲食店や宿泊施設、企業レストランなどで導入が進んでおり、現場で活用され始めています。

フードトータルデザインでも、水素調理器具を現在開発中です。当社では、店舗コンセプト設計、厨房機器の調達までをトータルで提案しています。

水素調理の導入を検討している方、どのように調理機器を運用すればよいのかお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

販売管理部 取締役

住宅メーカーでの接客・ゾーニング・CAD提案を経て、厨房業界へ転身。以後10年にわたり、大手チェーン店案件を中心に現場調査→プランニング→積算→施工までを一気通貫で担当してきました。設計・施工・運用の全工程を把握したうえで、導入計画と現場オペレーションの整合を取ることを重視しています。
現在は自社製品の販売を統括。お客様の「うまく言語化されていない本音や制約条件」を丁寧に引き出し、レイアウト最適化、導入コストとスケジュール、運用負荷、契約・リスクの確認ポイントまで踏み込んで提案するのが持ち味です。法学部で培った合意形成・契約視点を背景に、コラムでは導入・設置・運用・コスト試算の実務的観点を中心に、現場で役立つ判断基準を解説します。
「ご用聞きではなく、潜在課題の言語化と解決」が信条。プライベートでは釣りとアガベ栽培に熱中し、環境条件の管理や段取りの大切さを日々の仕事に生かしています。

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この記事の監修をした人

大学卒業後、IT企業の飲食事業部の立ち上げに参画、様々な飲食業態の開発を経験する。
独立起業後、香港に現地法人を設立。日本の飲食店の海外進出サポートをアジア各国で展開。
帰国後、フードプロデューサーとして、累計販売数 200万個を超える「ご飯にかけるギョーザ」などを開発。飲食業界の「ヒット商品請負人」として多数のメディアや講演会に出演。
現在、日本の飲食業界を盛り上げるべく、全国各地の飲食店・食品会社の顧問・アドバイザーを務め、多数の人気店を育成。

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