業務用イタリア製エスプレッソマシンの選び方|有名メーカーと導入判断の考え方
2026.02.16
- 飲食店の開業

業務用エスプレッソマシンでは、イタリア製という言葉をよく目にします。
ラ・マルゾッコなど有名メーカーの名前は知っているけれど、「実際にはどんなメーカーがあるのか」「なぜイタリア製が評価されているのか」までは、詳しく知らないという方も多いのではないでしょうか。
イタリア製の業務用エスプレッソマシンは、長い歴史の中でエスプレッソ文化とともに発展してきた背景があり、業務用として求められる考え方や基準が色濃く反映されています。
本記事では、今さら聞けない疑問「なぜ業務用ではイタリア製が多く選ばれてきたのか」を解説します。
代表的なメーカーの特徴や、「何を買うか」ではなく「どの条件で選ぶか」という導入判断の考え方までチェックしていきましょう。
業務用エスプレッソマシンとは?家庭用との違いを整理
本記事でお伝えするのは「イタリア製業務用エスプレッソマシン」ですが、まずはよく一緒になりがちな、業務用と家庭用の違いからチェックしていきましょう。
家庭用と業務用の違いは、性能の高さそのものではなく「どのように使われるか」を前提に設計されているかどうかです。
家庭用は、1回に1〜2杯程度の抽出を想定して設計されているのに対し、業務用はピークタイムに連続して抽出することを前提に作られています。そのため、業務用マシンは抽出時の安定性や温度・圧力管理の精度が高く、連続使用時でも味や品質が大きくぶれにくい設計になっています。
また、耐久性やメンテナンスを前提とした構造である点も、家庭用との大きな違いです。
業務用エスプレッソマシンは、長時間・高頻度の使用を想定し、部品交換や定期的なメンテナンスを行いながら使い続けることを前提に設計されています。
業務用=価格が高いという単純な違いではなく、店舗運営におけるリスクや負荷を見越した設計かどうかが、家庭用と業務用を分ける本質的なポイントです。
詳しくは「業務用エスプレッソマシンとは?失敗しない選び方の考え方を解説」も参考にしてください。

なぜ業務用ではイタリア製が選ばれるの?
業務用エスプレッソマシンでイタリア製が選ばれてきた理由は、ブランド力や原産国のイメージではなく、カフェ営業を前提にした設計思想と業界標準を形作ってきた点にあります。
なぜイタリアでそうした基準が生まれたのか、背景をまずは見ていきましょう。
エスプレッソ文化が「家庭」ではなく「店舗」から発展してきたから
イタリアでは、エスプレッソは家庭でゆっくり楽しむ嗜好品というよりも、バールで立ち寄って短時間で飲む日常的な外食文化として根づいてきました。
朝の通勤前や仕事の合間に一杯飲むといった利用シーンが一般的で、店舗では短時間に多くの客へ安定した品質のエスプレッソを提供することが求められます。
こうした文化的背景から、エスプレッソマシンの開発も家庭用ではなく、業務利用を前提に進んできた点が特徴です。
連続して抽出しても味や温度が大きくぶれないこと、オペレーションを止めずに使い続けられることが重視され、その要求に応える形で業務用マシンの設計思想が蓄積されていきました。
この流れが、現在の業務用エスプレッソマシンの基礎を形づくっています。
業務用として求められる要件を基準に進化してきたから
店舗での提供を前提に発展してきた結果、イタリア製の業務用エスプレッソマシンには、連続抽出が可能であることが重視されています。ピークタイムでも抽出条件が大きく崩れにくく、一定の味を再現できる設計は、日々の営業を支えるために欠かせないポイントです。
また、業務用では「壊れにくさ」だけでなく、万が一の故障や消耗を想定した設計であることも大切です。
部品交換や修理を前提とし、長期間使い続けられる構造や部品供給体制が整えられている点も、業務用として進化してきた特徴のひとつです。
この要件を積み重ねながら標準化が進んだ結果、現在の業務用エスプレッソマシンの基本的な設計思想が出来上がったとされています。

業務用イタリア製エスプレッソマシンの代表的メーカー
実際にはどんなイタリア製エスプレッソマシンがあるのか、規模感での定番メーカーや競技シーンでも人気のメーカー、長年愛されてきたモデルなどを種類に分けてご紹介します。
小〜中規模カフェで定番のメーカー
小〜中規模カフェで定番とされるイタリア製エスプレッソマシンには、派手な機能や尖った個性よりも、日々の営業を安定して支えることを重視した設計が共通しています。
連続抽出時の安定性や味の再現性、長期使用を前提とした耐久性とメンテナンス性といった要素がバランスよく整えられており、「業務用エスプレッソマシンの基準」として扱われてきたメーカーが多い点が特徴です。
<La Marzocco>
業務用エスプレッソマシンの分野で、長年にわたり基準機として扱われてきたメーカーです。抽出の安定性や耐久性、メンテナンス性といった業務用に求められる要件を高い水準で満たしており、小〜中規模カフェを中心に幅広い店舗で導入されています。
<Rancilio>
業務用としての実用性と扱いやすさのバランスに優れ、安定した運用を前提とした設計が評価されてきたメーカーです。導入実績が多く、業務用エスプレッソマシンの基準を理解するうえで比較対象として挙げられることも少なくありません。
デザイン性・競技性を重視する店舗で選ばれるメーカー
デザイン性や競技シーンでの評価を重視する店舗では、抽出性能だけでなく、マシンが持つブランドイメージや象徴性も導入判断の一部になります。
味の再現性や業務用としての基本性能を前提としつつ、店舗の世界観や発信力、バリスタの表現力まで含めて評価されてきたメーカーが、このカテゴリに位置づけられます。
<Sanremo>
競技シーンでの採用実績が多く、バリスタの操作性や抽出の自由度を重視した設計が特徴のメーカーです。性能面だけでなく、競技やプロフェッショナルの現場で使われているという文脈そのものが、導入理由として評価されることも多いです。
<Victoria Arduino>
高い性能に加えて象徴的なデザインやブランド性を持つメーカーで、国内外の公式アカウントやカフェ投稿でも目にする機会が多い存在です。
店舗のコンセプトやビジュアルと調和することを重視する場合や、発信力のあるカフェで導入されることが多く、マシン自体がブランド表現の一部として機能します。
歴史・伝統を背景に評価されてきたメーカー
業務用エスプレッソマシンの中には、長い歴史の中で業界標準を築いてきたことで評価されてきたメーカーもあります。最新技術や競技シーンでの注目度とは別に、エスプレッソ文化そのものを支えてきた背景から、今なお一定の支持を集めている点が特徴です。
<Faema>
エスプレッソマシンの歴史を語るうえで欠かせないメーカーで、業務用マシンの普及とともに評価を確立してきました。
一方で、最新モデルや競技志向のマシンと比べると、デザイン性や操作性の自由度を重視する店舗では選択肢に入りにくいケースもあります。伝統や実績を重視するか、店舗のコンセプトや発信力を重視するかによって、導入判断が分かれやすいメーカーと言えるでしょう。
店舗規模・運用別に考える導入判断のポイント
イタリア製エスプレッソマシンを選ぶ際、どのメーカーが適しているかは、性能の高さや価格だけで判断できるものではありません。店舗規模やピーク時の提供杯数、誰がどのように使うのかといった運用条件によって、適した選択肢は変わります。
ここからは導入するかどうかの判断ポイントをチェックしていきましょう。

店舗規模・ピーク時の提供杯数
小規模な店舗であっても、ピーク時に連続した提供が想定される場合は、業務用エスプレッソマシンを前提に検討する必要があります。席数が少なくても、短時間に注文が集中する営業形態では、抽出の安定性や回復の早さが求められるためです。
提供杯数だけでなく、「どの時間帯に、どのくらい集中するか」という運用面を整理したうえで、家庭用か業務用かを判断することが重要になります。
運用体制(誰が・どう使うか)
業務用エスプレッソマシンを選ぶうえで重要になるのが、「誰が使っても一定の品質を保てるか」という視点です。業務用では、特定のバリスタの技量に依存せず、スタッフが入れ替わっても安定した味を提供できる再現性や安定性が、導入判断の基準になります。
イタリア製エスプレッソマシンの中には、抽出条件を細かく調整できる操作性を重視したモデルもあり、バリスタの裁量によって表現の幅を広げられます。ただし、使い手によって味が変わりやすいのがデメリットです。
こうしたマシンは、競技志向や表現を重視する現場では評価されますが、必ずしもすべての店舗運営に向いているとは限りません。
日常的な営業を前提とする場合は、操作の難易度そのものではなく、誰が使っても一定の品質を保ちやすい設計かどうかを基準に考えてみましょう。
店舗の運用体制やスタッフ構成を踏まえたうえで、再現性と安定性をどこまで重視するかが、業務用マシン選びの重要な判断ポイントになります。
設置条件・メンテナンス体制
業務用エスプレッソマシンを選ぶ際は、「壊れにくさ」だけでなく、「万が一トラブルが起きたときに、どれだけ早く復旧できるか」という視点も大切です。
業務用では、導入後にいかに止まらず稼働し続けられるかが、店舗運営に直結する判断基準のひとつです。
イタリア製の場合、モデルによっては海外から部品を取り寄せる必要があったり、国内で対応できる修理拠点が限られていたりするケースもあります。そのため、事前に部品供給やサポート体制を確認しておくことが欠かせません。
ただし、これはイタリア製に限った話ではなく、業務用機器全般に共通する考え方でもあります。
気を付けておきたいのは、メーカーや原産国だけでエスプレッソマシンを選ぶのではなく、導入後のメンテナンス体制やサポートを含めて検討できているかどうかです。
長く使い続けることを前提に、万が一のトラブル時にも営業への影響を最小限に抑えられる選択かどうかを見極めることが、業務用エスプレッソマシン選びでは欠かせません。
業務用イタリア製エスプレッソマシンでよくある質問
- 小規模店舗でも業務用エスプレッソマシンは必要ですか?
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必要になる場合もあります。判断基準は店舗規模ではなく、ピーク時の提供杯数や注文の集中度です。短時間に連続抽出が発生する運営であれば、小規模でも業務用を前提に検討する必要があります。
- 家庭用の高性能モデルで業務用の代わりになりますか?
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一部の条件下では代替できる場合もありますが、基本的には業務向けではありません。家庭用は連続使用や長時間稼働を前提としておらず、営業負荷が高い運用では性能や耐久面で差が出ます。
- 業務用エスプレッソマシンは味にどれくらい差が出ますか?
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味そのものに大きな差が出るわけではありません。業務用の強みは、誰が抽出しても味のブレが少なく、再現性と安定性を保ちやすい点にあります。
- イタリア製以外の業務用エスプレッソマシンでも問題ありませんか?
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問題ありません。重要なのは原産国ではなく、業務利用を前提とした設計かどうか、そして導入後のサポートやメンテナンス体制が整っているかという点です。
業務用エスプレッソマシンは「機種」より「導入判断」!迷ったらぜひご相談を
業務用エスプレッソマシンは、特定の機種やメーカーを選ぶことで悩みがちですが「有名メーカーならOK」というわけではありません。
店舗規模や提供杯数、運用体制、導入後のメンテナンスまで含めて、自店舗に合った判断ができているかどうかで導入後の満足度は格段に上がります。
フードトータルデザインでは、業務用エスプレッソマシンの取り扱いに加え、今回ご紹介したような店舗運営に合わせた導入判断のご相談にも対応しています。
「どのメーカーが合うのか」「業務用が本当に必要か」といった段階からでも構いませんので、導入を検討されている方はお気軽にお問い合わせください。
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この記事を書いた人
販売管理部 取締役
住宅メーカーでの接客・ゾーニング・CAD提案を経て、厨房業界へ転身。以後10年にわたり、大手チェーン店案件を中心に現場調査→プランニング→積算→施工までを一気通貫で担当してきました。設計・施工・運用の全工程を把握したうえで、導入計画と現場オペレーションの整合を取ることを重視しています。
現在は自社製品の販売を統括。お客様の「うまく言語化されていない本音や制約条件」を丁寧に引き出し、レイアウト最適化、導入コストとスケジュール、運用負荷、契約・リスクの確認ポイントまで踏み込んで提案するのが持ち味です。法学部で培った合意形成・契約視点を背景に、コラムでは導入・設置・運用・コスト試算の実務的観点を中心に、現場で役立つ判断基準を解説します。
「ご用聞きではなく、潜在課題の言語化と解決」が信条。プライベートでは釣りとアガベ栽培に熱中し、環境条件の管理や段取りの大切さを日々の仕事に生かしています。

