中古の業務用ピザ窯ってどうなの?メリット・デメリットと注意点を解説
2025.10.10
- 飲食店の開業

飲食店にとって「料理の品質」を左右するピザ窯選びは大きな投資です。
ナポリ風の薪窯で本格的な味を提供したいと考える方もいれば、扱いやすさを重視してガス式や電気式を検討する方もいます。
ただし新品導入には数十万円〜数百万円のコストが必要なため「中古でも大丈夫か?」と悩む経営者も少なくありません。
本記事では、ピザ窯の種類ごとの特徴、新品・中古それぞれのメリットとデメリットを解説し、中古購入時に確認すべきポイントを整理しました。
これから店舗にピザ窯を導入予定の方は、ぜひ参考にしてください。
業務用ピザ窯の種類と特徴
業務用ピザ窯には薪式・ガス式・電気式・ペレット式の4種類があり、それぞれに「味の仕上がり」「扱いやすさ」「導入コスト」が異なります。
4種類の特徴をそれぞれ解説します。
薪式
薪式は最も本格的な仕上がりを得られる一方で、導入・運用負担は大きいです。
400℃以上の高温で一気に焼き上げるため、生地は外は香ばしく中はもっちりとした食感に仕上がり、薪特有の香りも加わって他方式では再現できない味わいを提供できます。
店舗の演出としても存在感があり、ブランディングにも効果的です。
ただし本体価格は他の熱源より高く、温度管理には職人の経験や技術が欠かせません。加えて燃料となる薪の調達や保管にも手間とコストがかかるため、導入には十分な検討が必要です。

ガス式
ガス式は「扱いやすさとコストのバランスに優れたタイプ」です。
デジタル制御で温度を一定に保ちやすく、誰でも安定した焼き上がりを再現できる点が強みです。燃料費も薪式より安く済むケースが多く、運用面の負担を抑えたい店舗に適しています。
一方で、薪式ほどの高温には到達しにくく、香ばしさや風味の深みでは本格派に劣る部分があります。
設置場所によってはガス配管工事が必要となり、その初期費用や施工条件を確認する必要がある点には注意が必要です。

電気式
電気式は「設置しやすさと安全性」で選ばれるタイプです。電源さえあれば導入できるため、ガス配管や薪の調達といった手間が不要で、小規模店舗や都市部の物件向きといえるでしょう。
デジタル制御によって温度を安定的に管理できるうえ、火を使わないため煙や火災のリスクが少なく、安心してオペレーションに組み込めます。
デメリットとしては、薪式のような超高温には届きにくく、香ばしさや独特の風味では本格派に劣ることもあります。
また長時間稼働させれば電気代が高くなりがちで、ランニングコストが経営上の課題になる点も押さえておく必要があります。

ペレット式
ペレット式は薪の風味を手軽に再現できる「薪とガス・電気の中間タイプ」です。
木質ペレットを燃料に使うため、薪よりも保管や運搬が簡単で、安定した火力を保ちやすいのが特徴です。焼き上がりは薪式に近い香ばしさを得られ、本格志向と扱いやすさの両立を求める店舗にはメリットが大きいでしょう。
ただし、燃焼後には灰が溜まるため、電気式やガス式と比べると清掃や手入れの手間が増えます。
燃焼が早いのも特徴で、薪よりもこまめな燃料補給が必要です。長時間稼働させる際には、運用の負担を考えておく必要があります。
新品の業務用ピザ窯を購入するメリット・デメリット
新品のピザ窯は「安心感と性能を重視するなら最適」ですが、コストが大きいという懸念点もあります。長期的に安定運用できる一方で、初期投資額は数十万〜数百万円にのぼり、資金計画に与える影響も大きいです。
ここでは、新品を導入することで得られる強みと注意すべき負担を整理します。

メリット
新品のピザ窯を選ぶ最大の利点は「安心感と性能」です。
最新技術を搭載した高性能モデルを導入でき、温度管理や省エネ機能など運営を効率化する機能も揃っています。
また、メーカー保証が充実しているため万が一の故障時も対応が早く、日々の営業を止めにくいのも大きな安心材料になります。
新品であれば衛生面も万全で、耐用年数も長いため長期的な投資として価値が高いといえるでしょう。さらにカスタマイズやオプション追加が可能で、店舗のスタイルや提供メニューに合わせた柔軟な導入ができます。
新品は設置や初期設定をメーカーがサポートするケースが多く、最新の安全規格や衛生基準にも適合している点は経営者にとって大きなメリットです。
デメリット
新品のピザ窯は性能面で安心できる反面、導入コストが高額になりがちで、資金計画に大きな負担を与える点がデメリットです。
人気モデルでは納期が数か月かかることもあり、すぐに営業に活かせない場合もあります。
また大型機種では設置工事やレイアウト調整が必要となり、思った以上に準備期間が延びることも。
最新機能を備えたモデルほど価格が跳ね上がり、費用対効果が見合わないケースもあるため注意が必要です。
中古の業務用ピザ窯を購入するメリット・デメリット
中古のピザ窯は「初期費用を抑えやすい一方で、リスク管理が欠かせない選択肢」といえます。
新品より安く導入でき資金を抑えられる一方、使用歴やメンテ状況次第で性能差が大きく、思わぬ修理費やトラブルのリスクがあります。
中古を選ぶメリットとリスクにつながりやすいデメリットをまとめました。
メリット
中古のピザ窯を選ぶ最大の魅力は、導入コストを大幅に抑えられる点です。
浮いた資金を他の厨房設備や運転資金に回せるため、新規開業時のリスク軽減にもつながります。
さらに即納可能な在庫が多く、注文から短期間で営業に活かせるのも強みです。中古市場には実績のあるモデルが多く出回っており、焼き上がりや使い勝手がすでに評価されている点は導入判断の参考になります。
また、中古ならではのメリットには、廃番となった人気モデルを手に入れられる可能性も挙げられるでしょう。
新品より資産計上額を抑えやすく、経営負担を軽くできるため、慎重に資金を運用したい経営者にとってはメリットが大きいです。
デメリット
中古のピザ窯は費用を抑えられる一方で、デメリットの多さには注意が必要です。
中古は故障リスクが高く、突然の修理費用が発生する可能性があります。保証が短い、あるいは付いていない場合もあるため、部品調達が難しければ営業停止につながることもあるでしょう。
販売状況にもよりますが、前オーナーの使用状況やメンテナンス履歴が不明な場合も多く、実際の耐久性を見極めにくいのも不安材料です。
さらに最新機能や省エネ性能に劣ることから、ランニングコストがかさみ、長期的には新品以上の出費につながるケースもあります。
古いモデルでは現行の安全基準や省エネ規格に対応していない可能性があり、導入後に思わぬ制約が生じるかもしれない点にも注意が必要です。
「搬入や設置工事に追加費用が必要になる」「衛生面で既存の汚れや匂いが残る」といった問題もあり、中古は安さだけで選ぶと経営上のリスクが大きい点を理解しておく必要があります。
中古の業務用ピザ窯を購入する際の注意点
中古のピザ窯は導入コストを抑えられる反面、状態や条件によっては大きなリスクも抱えています。
ここでは中古ならではの失敗を防ぐために押さえておきたい具体的なポイントを解説します。
窯の状態・動作を確認する
中古ピザ窯を選ぶ際にチェックするのは「見た目だけでなく実際に正常に稼働するかどうかを確認すること」です。
外観の傷や錆、内部の汚れをチェックするのはもちろん、温度計やタイマーといった計器類が正しく作動するかを確かめましょう。
ドアの開閉がスムーズかどうか、実際に火を入れて予熱時間や温度ムラ、排煙の状況を確認することも欠かせません。
購入前は一度稼働させておき、その間に異音や振動がないかまで細かく点検しておくことで、購入後のトラブルを防ぎやすくなります。

設置条件を確認する
中古のピザ窯は販売元のサポートが限定的なことも多いため、設置条件を自分でしっかり確認する必要があります。
電気やガス、排気設備との適合性はもちろん、重量に耐えられる床の補強が必要かどうか、設置場所の広さや搬入経路に問題がないかを事前にチェックしておきましょう。
新品と違って業者の説明が十分でないケースもあるため、条件の見落としがそのまま導入トラブルにつながりかねません。
導入後に営業を止めないためにも、設置環境との適合性は購入前に必ず確認しておくことが大切です。
メンテナンス方法を決めておく
中古のピザ窯は新品と違ってメーカー保証が受けられない場合が多いため、購入後のメンテナンス体制をあらかじめ決めておきいましょう。
故障したときにどこへ相談するのか、交換部品を調達できるかどうか、定期的な清掃や点検をどの業者に依頼するのか事前に確認しておきます。
さらに残りの耐用年数を見極めておくことで、修理に投資するのか買い替えを選ぶのか判断がしやすくなります。
以上の準備をしておけば、思わぬトラブルで営業を止めるリスクを大幅に減らせます。
業務用ピザ窯のことならスマート・イノベィションズにご相談ください!
業務用ピザ窯は種類や特徴が多く、導入形態によってメリット・デメリットが大きく変わります。
中古は初期費用を抑えられる一方で、性能や耐久性に不安が残るため、安さだけで選ぶのはリスクが高い選択です。
長く安心して使える窯を導入するには、実績ある専門業者に相談し、店舗の条件に合った機種を選ぶことをおすすめします。
スマート・イノベィションズでは、断熱性に優れた「エレガンザ」をはじめ、予算や厨房環境に合わせた提案が可能です。気になる方や導入を検討している方、詳しく中古と新品の違いを知りたい方も、まずはお気軽にご相談ください。
フードトータルデザインのピザ窯一覧はこちらよりご覧ください。
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この記事を書いた人
販売管理部 取締役
住宅メーカーでの接客・ゾーニング・CAD提案を経て、厨房業界へ転身。以後10年にわたり、大手チェーン店案件を中心に現場調査→プランニング→積算→施工までを一気通貫で担当してきました。設計・施工・運用の全工程を把握したうえで、導入計画と現場オペレーションの整合を取ることを重視しています。
現在は自社製品の販売を統括。お客様の「うまく言語化されていない本音や制約条件」を丁寧に引き出し、レイアウト最適化、導入コストとスケジュール、運用負荷、契約・リスクの確認ポイントまで踏み込んで提案するのが持ち味です。法学部で培った合意形成・契約視点を背景に、コラムでは導入・設置・運用・コスト試算の実務的観点を中心に、現場で役立つ判断基準を解説します。
「ご用聞きではなく、潜在課題の言語化と解決」が信条。プライベートでは釣りとアガベ栽培に熱中し、環境条件の管理や段取りの大切さを日々の仕事に生かしています。