不可能への挑戦
外はこんがりパリッ、内側は噛めば肉汁があふれる――この相反する仕上がりをねらうには、短時間の高火力と内部までの火入れを同時に成立させる必要があります。
ハイパーグリルは、炉内を高温まで予熱し、炉壁・耐火材が発する強い輻射(遠赤外線)を主役に据えた業務用オーブン。
輻射は空気の対流に頼らず表面へ直接エネルギーを届けるため、短時間で表面の褐色化(メイラード反応)を起こしつつ、内部温度の立ち上がりを助けます。高火力で“焦がさずに入れる”鍵がここにあります。
なお、一般に熱には以下の種類があります。
- 輻射熱:表面に直接届く熱
- 伝導熱:接触面からの熱
- 対流熱:熱風からの熱
またコンベクション(熱風循環)が主役のオーブンもありますが、本機ハイパーグリルの訴求は高射熱(輻射寄り)です。
どの方式にも一長一短があり、用途で使い分けます。
高射熱でねらう“短時間 × ジューシー”
- 高温に予熱した炉内が強い輻射を出し、表面をすばやく凝固。肉汁の流出を抑えながら、内側へ熱を通します。
- 多段トレーで距離(=受ける輻射量)を調整。食材の厚みや油脂量に合わせて火の当て方を変えられるのが利点。
- デジタル温度制御により、予熱や保持温度の再現がしやすく、マニュアル化に向きます。
- ガス燃焼を視認できる覗き窓で点火・燃焼状態を確認。安全運用に役立ちます。
プロが選ぶ5つの理由
スピード
表面を一気に決められるため、提供時間の短縮に直結。
再現性
デジタル温度制御と多段位置で、焼き色と中心温度の狙いを手順化しやすい。
キャパシティ
大型×多段で同時調理。ピーク帯の山を越える力がある。
使い分け
コンベクション優位の調理(焼き菓子・乾燥寄り)と、高射熱優位の調理(グリル・表面決め)をレシピで住み分けできる。
汎用性
対象は鶏に限りません。強い輻射が得意なため、ステーキなど短時間での焼き上げに向きます(厚み・部位で時間は変わります)。

大きな3つの導入効果
- 回転率の向上:短時間で複数皿が出せるため、席回転と売上機会を伸ばしやすい。
- 歩留まり改善:素早い表面凝固で肉汁流出が抑えやすい(カットロスやドリップ低減に寄与)。
- メニュー幅:鶏の皮目パリッ、ビーフの強火グリル、野菜のローストなど、“焼きで魅せる”ラインが組みやすい。
ハイパーグリル――
高射熱×ガス。炉壁の輻射が表面を決め、芯まで押し上げるオーブン。
大型キャビン、多段。オープンな現場で、スピードという武器を。